突撃 多摩美術大学!
2021年度 多摩美術大学 美術学部卒業制作展・大学院修了制作展B
展示日程は2022.03.13(日)~03.15(火)
今や母校に入るのも難しいセキュリティが頑丈な時代で
他校にも簡単に足を踏み入れられる学祭や展示会ってとても有難いなと思う。
どこか美術館に行く場合は時代の中の似た傾向の作品を集めてあったり
ある一人の歴史を時代ごとに展示してあったり、というものになるけれど
学校の作品展示だから多種多様なアイディアを見ることが出来てとても面白かった
ひとつのものをどういう視点で観察しイマジネーションを膨らませ自分の中で消化し外に吐き出すか
視点、着眼点、思考力、発想力、技術力、あらゆるものが雑多に入り乱れていて非常に雑然としている。
その中で自分の興味惹かれるものがあると、楽しい。
観たかったのは、 さんの作品。
手元にあるのは作品集と、絵本と、悩んで悩んで選んだポストカード。
keiという中性的な名前なのと(今回で慧というお名前と判明)制作動画で見た手が、
すらりと細くて、女性だと思い込んでいて。
とずっと思っていたら「僕」と発言されていて、もしかして男性なのか!?という衝撃
発言の雰囲気や性別によって作品の見え方、
受ける印象がこんなに変わるものかと、自分でも新鮮で驚きの発見だった。
大学生というと一般的には20代前半。順当に卒業するなら今21歳。
社会経験が少ないが故に言動に幼さを感じる人も多く、そんな中でもとても落ち着きがあって丁寧な雰囲気で、
他に見ている女性の絵描きさんと比べると随分と大人びているなと感じていたけれど
男性だとするとその雰囲気にとても合点がいった。
その落ち着きある人物が生み出す作品の雰囲気は、女性だと思っていた時は
とても丁寧な作風で繊細で几帳面で、センスが良い人なんだな、と。
男性だと考え改めてからは、丁寧であることは変わらないけれど
落ち着きがあって、でも秘めたる情熱があるような、力強さも感じられるようになって。
ここで気付いたのは、作品のベースにとてもどっしりとした赤色を使われているところ。
丁寧で静かな雰囲気を与えるその奥にはとても情熱的な、
自分の内から湧き出る芸術のエネルギーを持っている
その基が反映されているのが赤色なんじゃないかな、と思った。
不思議。
おもしろい。
画集を見ていて感じたのは、この方の作品は、清潔感があるんだな、ということ。
几帳面、っていうとちょっと神経質っぽく聞こえるけどそれはちょっと違ってて、
シンプルな白い背景にとても細かく描き込まれた黒いインク
でもそれは重すぎず軽すぎない質量で、テキトウに遊んでいることもなく、
色もすっきりと分り易く見易く、きちんと枠に収まっていて、
とても丁寧に作品を作られているんだなということがすごく伝わってくる。
日常的な所作もとても丁寧な方なんじゃないかと思う。
物語性のある絵を意識されて描かれているて、
そのアイディアをひねり出す工程が一番苦労するポイントとのこと。
そのスパイスを感じられるところに、ただ丁寧な絵を見ている以上の楽しみを鑑賞者は感じられる。
それは毒であったり、愛であったり、洒落や、皮肉や、作者の感性が見えてくる。
これから学校を卒業して社会に出ていくことでその幅はより広がっていくだろうと思うと
これからの作品にどのように反映されていくのか、その変化もとても楽しみ。
今回の作品「APPLE WITH GOOD AND EVIL」は
写真NGだったから記憶しか頼りにならないけれど、なんて頼りない記憶なんだろう自分。
他の作品と比べてとても目を惹いていたから観者も次から次へと状態で
ゆっくり隅々まで観ていられなかったのが残念。あと20分は観てたかった・・
ポスターとかちょっと大きいサイズのもの、販売してくれたりしないかな・・など思う。
隣で展示されてた「21世紀現代病」緑内障患者の視点を再現した作品、めちゃくちゃ衝撃的だった。
視界の殆どが黒くて、ソレが何なのか、ほんの僅かな円の中しか判別出来ない。
こんな風に見えているんだと言う衝撃と、とても勉強になる作品だった。
コロナ禍で声を発しない会話である手話に着目した作品「SHUWA」には明るい気持ちにさせられた。
マイナーな扱いにあると思われる手話をポップで前向きなものに捉えて表現することで
若い時分から興味関心を持って手話に取り組んでいけるようになるなと、なんだかうれしくなった。
手話カルタみたいなものがあると覚える手助けになりそう・・
「かっこいいせんべいのキャンペーン」は遠目から見た方がその良さが感じられるなと思ったし
「サカナノミイラカン」はお洒落で粋なデザインで、今商品として売られていても十分通用するものだと思った
「NEOENSE」熱帯の雰囲気を感じられる、カラフルで元気を身に着けられる素敵なパッケージデザイン
「糸の彫刻」糸で、彫刻???これどうやって作ったんだろうめちゃくちゃ気になるどうなってるの‥!?
中身だけ溶かすとかそんなまさかだと思うんだがええ????すっごい気になる…
「永遠の花」入り口すぐに展示されていてとてもインパクトあり。きれい。かわいい。
完全な円形じゃなくドットみたいな円なのは土台の作りやすさ?
それともここからまだ広がっていける可能性の示唆、とか?
すべてのものに顔がある作品。そのひょうきんな表情たちがとってもかわいいの。
やっぱりシンプルな線画が大好きだな自分。
SIRUNITOKERUTAMAGONOYOUSU▶ なんて残酷でかわいい
写真からインスピレーションを得たデザイン、とても綺麗だった
「永遠の花」これがね・・!!植物の神秘。すっごく綺麗で不思議で、生命を感じる。
1本すくっと伸びて立つ植物は、非対称でありながらもバランスを保ち自立している。
枝葉をひとつひとつ丁寧に広げて展開した作品。植物の美しさ。
写真じゃぁ全然わからないけど、なんと細い金属線を1本1本並べて一つの作品になっている。
なんて神経質で根気の要る…途中切れている線をみると、
あぁほんとに1本1本で構成されてるんだってわかって、すごい。
小説の内容を1枚のイメージとして描き出した作品。
夏目漱石こころの1頁1頁にイメージ背景を描いた作品もあったけれどこれ物凄く興味深いなと思う。
人が作品を読んでいる時に脳内にどんなイメージを展開しているのか、
誰一人として同じものはないだろうからとても面白いし、気になる。
アファンタジアの人は文字を読んで文字が流れるそうで、
頑張ってイメージしようと頑張ればぼんやりとその物の形が浮かんでくる、って聞いて。
その感じもぜひ可視化してほしい・・
テクノロジーの発達で脳内で想像したものが現実に描き出せる技術、いつか出来そう。
驚きの図書館。
図書館・・?美術館の間違いでなくて?
中入りたかったけど流石に無理。
ガラス越しにへばりついて眺める。
大学の建物が、図書館はアーチが取り入れられていたけれど全体的にとても無機質な印象で。
基本的にグレーの色彩で、時期が時期だから植物もまだ眠ってる状態だったのもあるとは思うけれども。
白とピンクの梅が目を惹いていた。
母校はどうだっけ?なんて薄っすら記憶を引っ張り出して見たりしてた訳だが
創造アイディアの邪魔をしないデザインにしてるのか?とか考えてみたり。
学食も行ってみたけどとてもこじんまりとしていて。
こんな規模で学生みんな入れるのか?って過ったけどマンモス大学とはそりゃ規模が違うなわと。
調べてみたら多摩美術大学の美術学部の定員数は1015人。oh…
彫刻とか工芸もめちゃくちゃ気になった!!
けどこちらは今回の展示には含まれていなくて(泣)訪問したのも日曜日だからだれも居らず。
工作センターにあった、自分の目にはとても雑多に見えるあれらこれらのオブジェクトは
作品の一部なのだと思うと非常にたのしい。
作ってるところずっと見てたい。
ガラス棟と陶棟の間の階段下に置かれていた、浴槽に見えるあれ。
あれはこれからどんな運命を辿るのか?
全然、浴槽なんかじゃなく工具のひとつかも知れない。めっちゃおもしろい。
未知なる美術大学。非常に良い。
ありがとうございました‥!!